社長の判断ミスは命取り

今日は松下幸之助氏の言語録より「なるほど」と思ったことをシェアします。

『…雨が降れば傘をさすというようなことはだれでも知っています。傘もささずにぬれ放題というものは、よほど奇稿な人でもなければやりません。ところが、商売や経営のこととなりますと、これがなかなか当たり前にはいかなくなります。私心にとらわれて判断を誤り、傘もささずに歩きだすようなことを、しばしばしがちです。…』                                                 (松下幸之助)

■例えば本業不振で大きな赤字に転落して、返済猶予を受けながらも、社員の削減も行わずに、長期間粘り続ける社長がいらっしゃいます。長年かけて蓄えた資産の底をつき始めています。

また、全く異業種の新規事業に大きな投資をして、上手く行かずに途方に暮れている社長もいます。当然うまくいくと思って始めたとは思いますが…。

何かが『当たり前』の判断を妨げているのでしょう。

■経営者は、時に『傘もささずに歩きだす。』こんな判断をくだします。『商売や経営のこととなりますと、これがなかなか当たり前にはいかなくなります。』ということなのでしょうか。

『…もし社長がちょっと見積もりを誤ったら、パーッと百億円ぐらいは簡単に損してしまう。だから、会社にとっていちばん危険なのは、社長だということになる。…』
(松下幸之助)

『いちばん危険なのは社長』社長の判断ミスは命取り、とおっしゃっています。

■中小企業における唯一の決裁権者である社長が、『私心にとらわれて判断を誤り、傘もささずに歩きだすようなことを、しばしばしがち…』であるならば、これほど危険なことはありません。
なので社長は自己の判断の正当性を、時に第三者に確認することも必要です。あれ?と思ったら、第三者にも意見を求める…この習慣が必要かもしれませんね。
お金のこと、経営のこと、もちろん税務のこと…相談者として頼りになる事務所になりたいとあらためて思いました。

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『融資決定までの流れ』ご存知ですか?

みなさんは融資決定のプロセスってご存知ですか?

金融機関に融資を申し込んだけど、中々回答がもらえず、じれったい思いをした経験のある方も多いと思います。

私も今回初めて詳しくお聞きすることができましたのでみなさんにシェアしたいと思います。

〇融資申し込みから決裁までの一般的な流れ
・新規融資の申し込みを受けたら、決算情報や基本情報等をシステムに登録します。決算書情報の登録などはセンターで集中的に行っている場合が多く、この場合、決算書を社内郵便でやり取りしますので、登録するだけで3日ぐらいかかってしまいます。

・決算書情報の登録が完了したら、財務分析資料をシステムから打ち出して決算分析を行います。決算分析は実作業だけで半日以上かかります。また、決算内容について、必ず不明な点が出ますので、社長様に質問をしますが、「税理士に聞かないと分からない。」といった内容のものが多いため、回答を得られるのに数日、長い場合は数週間を要します。

・財務分析の結果が良ければ、いよいよ稟議書の作成に取り掛かります。案件のボリュームにもよりますが、稟議書作成の実作業も半日以上はかかります。

・担当者が作成した稟議書は、代理→次長→副支店長→支店長といった順番で決裁されていきます。本部審査案件の場合は、支店長からさらに本部の審査役に回ります。物理的には、1日2日あれば決裁できそうですが、大抵の場合、誰かが外出していたり、他にも優先すべき事項があったりしますので、実際は数日かかります。もちろん途中で差し戻されることもあり、そうなれば修正する時間と再度回覧する時間がさらにかかります。

登録に3日、財務分析に3日、稟議書作成に3日、回覧に3日かかったとして12日です。金融機関の営業日数は1か月で約22日程度しかありませんので、担当者が複数の案件を抱えていたり、質問のやり取りに手間取った場合、簡単に1か月が過ぎてしまいます。

融資の申し込みから決裁までに、それなりの時間を要することを見越して、申し込みは余裕を持って行いましょう。また、質問に対する回答は、少しでも早く行うことが、融資をスムーズに進めるコツになりますので覚えておきましょう♪

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「未来の説明」をしていますか?

先日のご相談事例です。日本政策金融公庫より創業融資を受けている創業2期目の事業者の方より、「後3か月ほどで資金が枯渇するため新たな融資を受けたい。」というご相談をお受けしました。

話を良くお聞きすると、創業融資を受けたときから事業内容が進化しており、当初は国内だけの販売を想定していたが、海外での需要も見込まれることが判明し、海外展開も視野に入れて活動を開始しているとのことです。具体的に営業が進捗している案件もあり、数か月内に1,000万円程度の海外売上も見込んでいます。

しかし、現状の試算表を確認したところ、売上高はそれなりに上がっていますが、まだ創業赤字からは脱却できていない状況です。

私からは、「足元の業績が赤字であるため新規融資は簡単ではないが、具体的な売上も見込まれていることから、日本政策金融公庫の海外展開融資を申し込んではどうか。」と提案しました。

しかし、社長によると、既に日本政策金融公庫には事前打診済みであり、現在回答を待っている段階とのことでした。

日本政策金融公庫に提出した資料について聞いてみると、公庫の担当者より「決算書はいただいているので試算表だけ送ってください。」と言われたため、試算表のみを提出したとの回答が返ってきました。

日本政策金融公庫から依頼された資料は確かに試算表だけですので何も間違ってはいませんが、既に提出済みの赤字の決算書と、今回提出した赤字の試算表で事前審査を依頼しても、良い回答がもらえるはずはありません。絶対に補足説明が必要です。

金融機関が過去の実績を重視するのは間違いありませんが、決して未来を見ていない訳ではありません。

具体的な売上の見込み等がある場合は好意的に受け止めてもらえます。しかし、過去の実績は財務諸表で分かりますが、未来のことはこちらから説明しなければ金融機関は知る由もありません。

過去の財務内容で評価できる点がないならば、それ以外の評価できるポイントがなければ審査に通る可能性は殆どありません。
試算表を送ってくれという指示に素直に従うのではなく、直接お会いして経営計画等を提示しながら「未来の説明」をしっかり行いましょう♪

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