事務所通信特別号「新型コロナウイルス緊急対策について(4月22日現在の情報)」

新型コロナ緊急経済対策法案が4月30日に国会を通過いたしました。
今回提供する事務所通信特別号は4月22日現在の法案なので多少違いはあるかと思いますが、概要をつかむには十分かと思い発信いたします。
特別号の内容は以下の情報が掲載されております。
みなさん大変な時期だとは思いますが活用できるものは活用し、この苦境をみんなで乗り越えていきましょう!

新型コロナ緊急経済対策 税制編
1.納税が1 年間猶予に
2.テレワーク等に設備投資した中小企業には
3.資本金1 億円超10 億円以下の法人も欠損金の繰戻し還付が可能に
4.中止イベントのチケット代が寄附金控除の対象に
5.入居期限に間に合わなくても住宅に係る減税適用は可能
6.課税期間開始後でも消費税課税事業者の選択変更が可能に
7.中小企業者等は売上減少幅に応じて固定資産税等が軽減
8.影響を受けながらも果敢に新たに設備投資を行う中小事業者等の支援策
9.自動車税・軽自動車税環境性能割の臨時的軽減の延長
10.特別貸付けの契約書に印紙は不要

新型コロナ緊急経済対策 助成金・給付金編
1.雇用調整助成金
2.新型コロナウイルス感染症による小学校休業等対応助成金・支援金
3.持続化給付金
4.中小企業生産性革命推進事業
5.新型コロナウイルス感染拡大防止の要請に応じた協力金
6.全国全ての人々への新たな給付金(特別定額給付金(仮称))
7.子育て世帯への臨時特別給付金

新型コロナウイルス感染症緊急経済対策における税制等の措置(案) 特別号

新型コロナウイルス感染症に関する情報提供

この時期は例年確定申告の追い込みをかけている時期なのですが、今年は新型コロナウイルスの影響で確定申告期限も1カ月間猶予され、4月16日(木)となりました。
弊事務所では通常通り3月16日までに終わらせますが(笑)
学校も全校休校、社会人も在宅勤務など人も物も動かない大変な事態となっていますね。
お客様とお話しても飲食業や観光業のみならず、あらゆる業種で影響が出ているようです。
そんな状況の中、政府は事業者向けの対策を日々打ち出してきています。
みなさんに有用な情報だと思い、こちらで情報提供させていただきます。
大きくは①資金繰り②設備投資・販路開拓③経営環境の整備、という形でサポートしていく体制の様です。
また国税庁も納税の猶予を一定の手続きだけで認めるなどの施策をとってきています。
日々これらの情報も更新されていくと思います。
みなさま、今回の事態はまだまだ先が見えません。
事業継続にも相当の影響が出ると考えられます。
先を見通して、早め早めの対応をしていきましょう!

↓↓↓下記のリンクからPDFをダウンロードできます。ご一読ください‼

新型コロナウイルス対応(経済産業省)

納税猶予について(国税庁)

ニュースレター2020年2月号

ニュースレター2020年2月号を発行しました。下記リンクよりPDFをダウンロードできます。
ぜひお読みください‼

テーマはこちら

1.令和元年分の所得税確定申告の留意点
2.4月より始まる中小企業に対する時間外労働の上限規制
3.賃金改定を実施した企業の割合は90%超に

2020年2月号(全8頁)

事業性評価シート作成ワークショップを開催‼

令和元年7月20日(土)に事業性評価シート作成ワークショップを開催しました。
事業性評価シートとは金融機関が取引先の審査の一環として取り入れられているものです。
今年4月の金融機関マニュアルが廃止されたことに伴い、今後は企業の事業性(将来性)が重要視されてくると言われています。
そこで、経営者自らが金融機関の立場に立って自分の会社を評価していこうというのがこのワークショップのテーマです。

みなさん頭に汗をかきながら、あらためて自分の会社に向き合い、様々な発見をしていたようです♪

参加者からは「銀行が何を見て何をどう判断していたのかが良く分かった」「4時間の長時間のセミナーだったが長く感じなかった」「会社で今何をすべきか、再確認することができた」などの感想をいただくことができました。

事業性評価シート作成ワークショップは隔月で開催していきます。
来月のセミナーは「中期経営計画策定セミナー~将軍の日」を8月20日㈬10-18時の1dayセミナーとして開催いたします。
今回の事業性評価から一歩進んだ今後5年間の経営の方向性を定性、定量両方の視点で描いていきます。
経営者のみなさま、ご参加お待ちしております

正しい財務戦略のセルフチェック♪

『正しい財務戦略のセルフチェック』
…小規模事業に適した財務戦略を確認しましょう(^^♪
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企業活動を永続的に行うためには、「資金繰りに困らないこと」が最も重要です。円滑な資金繰りを実現するためには、「正しい財務戦略」が欠かせませんが、中小企業向けに書かれた財務の教科書はほとんど無く、各経営者様が手探りで銀行対応等の財務活動を行っているのが実情です。

財務戦略を間違ったばかりに、本来は受けられたはずの融資を受けられず、経営危機に陥ったり、新たな設備投資のチャンスを逃したりするケースを多く見てきました。貴社は大丈夫でしょうか。下記セルフチェックで確認してみてください。

■中小企業のための「正しい財務戦略」セルフチェック!
次の質問に「はい」か「いいえ」で答えてください。

1.銀行は資金繰りに困った中小企業に融資をするのが仕事だ。
2.銀行の担当者に融資をすすめられたが必要無いので断った。
3.銀行から融資を受けるなら知名度の高いメガバンクが良い。
4.今借りている融資を完済するまで新たな融資は受けられない。
5.銀行には自社の情報を詳しく伝えすぎてはいけない。
6.今借りている融資金を完済するまで次の借入は出来ない。
7.2つの銀行から融資の提案を受けているが金利(だけ)で
選ぶべきだ。
8.銀行員に流動比率の低さを指摘されたので仕入の支払サイ
トを縮めよう。
9.銀行員の対応が気にいらないので嫌がらせをした。
10.銀行員も人間なので圧力や頼み込むことで融資を受けや
すくなる。
11.そもそも借入は出来るだけしない方が良い。

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以上の質問にひとつでも「はい」があった方は、間違った財務戦略を実践している可能性があります。意外に思う項目もあったかと思いますが、基本的にはすべて逆の対応をした方が良いと考えています。世間一般に正しいとされる財務戦略は大企業や中堅企業向けのものが多く、中小企業が実践すべきではないものも多く含まれています。

弊所では、中小企業に特化した実践的な財務戦略や銀行対応の方法を日々研究しており、中小企業経営者のみなさんの資金繰り円滑化に貢献することを使命と考えております。ひとつでも「はい」があった方は、お早めにご相談いただければと思います(*^-^*)

 

値段のつけ方どうしてますか?

創業時・新規事業の販売価格はどうやって決めていますか?

…高単価、高粗利の商品・サービスでスタートしよう!

先日、資金調達支援の依頼があり、あるベンチャー企業の新規事業プレゼンをお聞きしました。今回取り組みを検討している新規事業は、既に世の中にあるサービスを、より良いやり方に変えて提供するというもので、ある大手企業のサービスと比較しながら、自社のサービスを大変分かりやすく解説していただきました。

「大手企業のサービスは、効果が低いにも関わらず、営業力だけでシェアを伸ばしている。」という前提に立ち、「自社の新サービスは、ITを駆使することで、より手厚いサービスを提供できるため、大手のサービスよりも効果を出せる。」という説明です。社長は自信に満ち溢れた口調で、説明のひとつひとつも理にかなっていたので、「確かにこういうやり方をすれば効果は倍増するかもしれないなぁ。」とポジティブに話を聞いていました。

プレゼンの最後は、いよいよ価格面を含めた収益の説明です。
期待して説明を聞いていたのですが、出てきた価格設定に少し驚きました。社長が設定した販売価格は大手企業の半額以下、同社の利益部分に関しては1件あたり月額数千円です。あれだけ自信を持って大手のサービスよりも良いものだと説明してきたのに、なぜこんなにも安い価格でサービスを提供しなくてはいけないのでしょうか。

社長の回答は以下の通りです。
1.安い方が受注が増えやすい。
2.ITを使っているのでこの価格でも利益を出せる。
3.いくらなら買うかというアンケートの結果である。

様々な考え方があると思いますが、「安ければ売れる。」「高ければ売れない。」というのは妄想だと感じます。まずは、「効果がある。」というのが重要なポイントであり、効果がなければ「無料」でも売れません。逆に明確な効果があれば「高値」でも売れます。彼らの説明によると、大手企業よりも「効果のある」サービスを開発したのですから、それが本当であれば、大手企業より安くする必要はありません。高い値段で売れるものを、わざわざ安い値段で売ることは経営としては間違っているように感じます。

次にITを使っているため利益を出せるという点です。計画上の数年後の営業利益を見てみると、確かに10%程度の利益が出ています。しかし、本当に10%が適正な利益でしょうか?
大手企業はテレビCMも流していますが、同社はテレビCMを流せるほどの広告費を見積もっていません。また、改良の余地がない完成品を最初からリリースできる可能性は低いにも関わらず、改良を継続的に行うための予算も見積もっていません。
もっと利益を高く取って、サービスの進化発展に費やせる予算をしっかりと確保しなければ、すぐに競争力を失ってしまいます。

最後に、アンケートを取ったとありますが、大手企業は実際に倍の価格で数万人の顧客を有しています。これから参入しようとする市場の規模をあえて縮小させる必要があるのか疑問です。

マーケットの一定シェアを獲得しなければ黒字転換できない低価格戦略は、一般的な創業者が手に出来る数百万円から数千万円の資金で実現するのは大変困難です。マーケットの一定シェアを獲得するためには莫大な広告費がかかり、また、数量をさばくための多額の人件費や設備投資が必要になります。

資金はないが固定費も小さな小規模企業は、大企業に比べると極めて小さな売上で黒字転換をすることができます。多額の広告費を費やし、大量販売をして市場シェアを獲得するという大企業の戦略ではなく、小さな売上でも黒字転換しやすい、高単価、高粗利の商品・サービスでスタートすることをおすすめします♪

銀行員は目で見たものより書面を信じる?

先日、弊所の顧問先A社の事務所兼倉庫にて、金融機関の現地面談を受けました。その金融機関とは初めての取引となるため、融資審査の一環として、上司と一緒に訪問したいとのご依頼でした。

現地面談とは、新規取引を始めるにあたり、「異常がないか実際に現場を確認しておこう。」という程度のものです。そこまで厳しいチェックを受けることはありません。初めて現地面談を受ける時は、「ごみがひとつでも落ちていないように・・・」等と身構えてしまいますが、普通にしていれば特に問題はありません。

当日は、担当者と融資課長の2名で来社されました。「まあ会議テーブルで軽く雑談をした後、オフィスや倉庫を案内して回る・・・」という段取りで考えていましが、テーブルに着くとすぐに、先日提出した在庫表を持ち出して融資課長が話を始めました。

「決して在庫が多いとは思っていないのですが・・・」と前置きしながら、「数量が多い順に並べ替えたデータは出せないか。」とか、「この商品について過去からの推移は出せないか。」等、あれこれと資料請求が。言葉の端々から、A社の在庫について懐疑的であることが感じられます。

在庫の実在やデッドストックの有無を知りたければ、資料をあれこれ調べるよりも、倉庫を見た方が確実です。大体の在庫の数量は分かりますし、最も量の多いアイテムを見れば、それが売れ残っている商品か、もしくは1年先まで売れる定番商品かが分かります。しかし、融資課長は最後まで倉庫を見に行きませんでした。

せっかく現地まで来ておいて、現物を見ずに帰っていく融資課長の態度に少し腹が立ちましたが、同時に、金融機関にとって最も重要なのは、「書面」であることに改めて気づかされました。融資課長は、決裁者に自分が見てきた話をするよりも、書面やデータで説明した方が有効であると考え、書面の収集に固執したように感じます。

銀行に融資を申し込む際、資料を作って説明するのは手間がかかるため、口頭で説明して済ませた経験のある経営者様も多いと思います。しかし、いくら目の前の担当者に理解してもらっても、決裁者を理解させないと融資は出ません。現在は金融機関も融資手続きの平準化が進められており、会って説明することの出来ない最終決裁者に情報を正確に伝えるためには、やはり書面が有効です。

弊所でも融資手続きのお手伝いを積極的に行っております。こちらの気構えとしては金融機関がいかに融資手続きを円滑に進められるかを手伝ってあげるくらいの気持ちで準備すると良いのかもしれませんね(^^♪

 

中小企業経営にとって最も重要な財務指標とは!?

『中小企業経営にとって最も重要な財務指標とは』
…まずは何より現預金月商比率の管理を
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経営の状態を財務面から分析する際に使用されるのが財務指標です。代表的なものに、企業の安全性を見る流動比率や自己資本比率、収益性を見る各種利益率、効率性を見る各種回転率等があります。銀行の格付も財務指標によってランク付けされています。財務指標は、財務の状況を把握するのに最適な指標ですので、財務指標を経営に役立てるのは大変有益だと思います。

しかし、多くの中小企業経営者にとって、財務指標はあまり親しみやすいものではありません。「種類が多すぎて覚えるのに苦労する。」「それぞれの指標の重要度合いが分からない。」といったことが理由ですが、確かに、多くの財務指標を管理するのは大変です。そうであるならば、最も重要な指標をひとつだけ選んで管理してみてはいかがでしょうか?

資金調達力が弱い中小企業が、常に把握しておくと良い財務指標に「現預金月商比率」があります。現預金月商比率とは、月商(売上高)の何ヶ月分の現預金を持っているかを表した指標です。この指標を最も重要とする理由は、企業の継続や、経営目的の達成には、単純に「お金」が必要だからです。

まず、会社を倒産させないために、手元現預金が平均月商の1ヶ月分を切らないように管理します。「ふと気づけば資金が底をつきかけていたため、慌てて銀行に借入を申し込んだ。」という話をお聞きしますが、運悪く融資を受けられなかった場合、倒産も覚悟しなくてはならない事態に陥ります。このような事態を避けるためにも、現預金月商比率を常に把握して、現預金が平均月商の1ヶ月分を切りそうになった段階で、すぐに資金調達に動きます。

次に、現預金月商比率を向上させるために、以下の取り組みを行います。

・利益を増やす。
・売上金を早く回収できるよう工夫する。
・支払いを遅らせるよう工夫する。
・積極的に資金調達に動く。

当然ながら利益によって現預金を増やすのが理想ですが、最初は借入を増やしてでも現預金を潤沢に持つことが大切だと思います。現預金が潤沢になれば、現預金月商比率が1ヶ月を切らない程度に、力相応の投資を積極的に行って、利益の増大を目指します。
そして、力相応の投資によって獲得した利益で、借入を減らすことができれば、現預金月商比率だけでなく、すべての財務指標が向上することに繋がります。

銀行に嫌われる決算書!?

『銀行に嫌われる決算書』
…銀行が嫌うポイントを知り、改善することで資金調達力 が向上します。
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先日、ある経営者の方から「うちの決算書、やけに現金が多いんだけど・・・」という相談を受けました。実際には無い現金が行き場を失い数百万円単位で現金勘定の中に残ってしまっていました。おそらく経費計上がなされていないものがあるとか、他の勘定に行くべきものがその処理をされていないというところだと思われます。

ではこの決算書を銀行に提出したときの銀行側の反応はどうなるでしょうか。

実際上記のように決算書の読み方が分からないという経営者の方も少なくありません。決算書が読めた方が良いとは思っているが、特に経営に支障を来している訳でもないしな・・・というのが本音ではないでしょうか。

確かに、決算書には経営に役立つ情報もたくさん詰まっていますが、実際に決算書を使うのは、融資を申し込みする時が最も多いと思います。

資金調達の面から見ても、決算書が読めた方が、銀行と円滑に話ができるため有利です。しかし、今更決算書の読み方を勉強するのは・・・という経営者の方も多くいらっしゃると思いますので、最低限、自社の決算書が銀行にとって評価されるのか否かを知るポイントをお伝えします。

決算書の読み方を体系的に理解せずとも、銀行が嫌うポイントを知り、そうならないように気をつけることで、資金調達力は向上します。

■ 銀行が嫌う決算書の一例です。

・貸借対照表の現金残高が多い
⇒実際に現金が金庫に保管されているなら問題ありませんが、架空の現金残が多額にある場合は、「お金の管理がずさん」、「利益を良く見せかけているのでは?」という懸念を持たれます。

・貸借対照表の仮払金が多い
⇒「出張旅費を仮払いした。」など、使い道が明確であれば問題ありませんが、「領収証を失くした。」、「会社の経費で落とせないものを購入した。」等は、現金残と同様、「お金の管理がずさん」、「利益を良く見せかけているのでは?」という懸念を持たれます。

・貸借対照表の貸付金が多い
⇒会社のお金は事業に使うのが本筋です。金融業なら別ですが、会社のお金を事業の目的以外に使っていることになりますので銀行はネガティブです。「融資したお金が事業とは関係のないことに使われるのでは?」という懸念を持たれます。

・貸借対照表の有価証券が多い
⇒株式や仮想通貨等の運用商品です。投資業であれば問題ありませんが、貸付金と同じく、会社のお金を事業の目的以外に使っていることになりますので、「融資したお金が事業に使われず投機に回るのでは?」という懸念を持たれます。

他にも銀行が嫌うポイントはいくつかありますが、まずは、自社の決算書にこれらの勘定科目が計上されていないかをチェックしてください。もし、計上されている場合は、これらの勘定を減らす、もしくは増えないように取り組むことで、資金調達力は今よりも向上します。

簿記、会計の仕組みは単純ですが非常によくできていて、その時点での会社の実力や今までの積み重ね、歴史を表しています。

みなさんも決算書に少し興味をもって読み解いてみるとよいと思います。

結構面白いですよ(^^♪

売上の入金口座をどこに置くか?

『売上の入金口座をどこに置くか』
…売上の入金口座と融資姿勢は密接な関係がある?
 

良くあるご相談の中に、「銀行さんから売上の入金口座を当行に移して欲しいと依頼されているが、応じないといけないのか?」というものがあります。新規融資を申し込んだタイミングで、このような依頼をしてくるケースが多いようです。

銀行から見ると、自行の口座で入金や支払をしてもらうことは、収益面、安全面において大きなメリットがあります。

例えば、今回2,000万円の融資を行ったとしても、預金残高が常に1,000万円あれば、実質は1,000万円の資金負担で済むため、大変効率的です。また、日々の入出金から状況を読み取ることができますので、悪い兆候もいち早く感じ取
ることができます。

このようなメリットが銀行側にあるため、新規融資を検討する際に、基本的には売上の入金口座を移すよう依頼しています。
確かに、売上の入金口座を移すことを確約すれば、融資の審査にはプラスに働きます。ただ、銀行の依頼に応じるかどうかは、戦略的に判断する必要があります。

中小企業の場合、売上金の入金や支払にメインで使っている口座はあまり多くありません。せいぜい1つか2つではないでしょうか。この貴重なメイン口座を、数ある銀行の中から一つか二つ選んでお預けする訳ですから、目先の融資で判断するのではなく、将来に渡って最も信頼できる銀行にメイン口座を置くのが良いと思います。

具体的には、最もプロパー融資(直接銀行から受ける融資のこと)で応援してくれる銀行です。保証協会の融資は銀行にとって殆どリスクがありませんが、リスクのない保証協会のお付き合いしか考えてくれない銀行にメリットを与えるよりも、リスクをとってプロパー融資をしてくれる銀行にメリットを与えた方が、安定した融資取引を期待できます。

融資取引が大きな銀行にメイン口座を置くと、いざという時に差し押さえをされたりするので、融資取引と預金取引は銀行を分けた方が良い、という意見をお聞きすることもあります。一理あると思いますが、業績が悪化することを前提とした考えのようです。これから業績が拡大に向かう、資金需要が旺盛な企業は、銀行を味方につけなくてはなりません。何のリスクも取っていない銀行にメリットを与えながら、何のメリットも享受していない銀行にリスクを取ってくれというのでは筋が通りません。

もちろん事業の特性によっては入金口座はメガバンクの方が良い場合もあります。その場合は、支払口座を移すだけでも大丈夫です。メイン口座として使う銀行を何となく決めるのではなく、融資取引を睨んで戦略的に決めることをおすすめします。